社会学入門 第9講 地位と役割(5)

社会学入門　第9講　地位と役割（5）

　第1回目のレポートの後、「地位と役割」というテーマで話をしてきました。私たちは生活の中でいつもなんらかの地位に立っているということがおわかりいただけたと思います。地位には長い期間継続して維持する「構造的地位」と、人との関係の中で変化する「対人的地位」があると説明しました。この地位は場面場面で変化しています。構造的地位は一時的に別の地位になることはありますが、この地位は基本的にその人のアイデンティティを構成し、消失することはありません。バスや電車の乗客のような一時的地位は、その場面がなくなれば、その地位は消失してしまいます。そしてそれぞれの地位に対して特定の「役割」が期待されています。原則的に社会に共有された「役割」は一貫した同じ内容なのですが、相手の地位が変われば、期待する役割は変化する場合があります。


　対人的地位では人間関係によって役割が変化するので、当然、同じグループの中にあっても役割期待が複数存在します。『オレンジデイズ』の中での翔平の役割を考えればよくわかると思います。これは構造的地位についても同じです。たとえば、「父」と「母」という構造的地位では「娘」という地位に期待する役割が一般的に変わります。『生徒諸君』での担任教師の役割期待も人によって異なりました。

　私たちはこうした役割期待に応じて行動することによって、その場の秩序を維持することができます。その役割期待が複数あれば、その役割を取得して自分で調整しなければなりません。この調整の内容が他の人からは「個性」と見られるようになります。そして形成された個性によって、新しい役割を期待される可能性が生じます。同じ地位にある人が、異なった個性を発揮するようになるのは、こうした状況が影響しています。もちろんこれ以外にもさまざまな要因がありますが、このことについては別の機会にお話ししたいと思います。


　さて本日は第2回目のレポートを発表します。

課題作品は、

　『ANEGO　第1話』
　　演出：佐久間紀佳、佐藤東弥
　　脚本：中園ミホ
　　原作：林真理子
　　2005年4月20日放送分

です。


　課題は、

「野田奈央子の地位と役割」

です。作品をみればわかるように、主人公の野田奈央子はドラマの中で複数の地位をもっています。そしてそれぞれの地位に対して人びとから役割を期待されています。
　レポートでは複数の地位が何であるかを明確に述べて、それぞれの地位に期待される「役割」について説明してください。自分の主張の根拠を明示することを忘れないようにしましょう。

　レポートを書くにあたっての注意事項です。

１．この課題は感想文でも作文でもありません。小論文として書きましょう。

２．電子メールで提出してください。手書きのレポートの提出は認めません。
　電子メールで提出された場合には、必ず「受領確認メール」を返信しています。必ず返信メールを確認してください。

３．yahooメールから提出される場合には、返信メールが「迷惑メールフォルダ」で受信される可能性があります。注意してください。

４．携帯メールでの提出も許可しています。この場合、着信拒否のドメイン指定を解除してください。

５．MICCSでの提出も可能です。


レポートの提出期限は2008年6月19日（木曜日）授業終了時間までとします。これは提出期限なので、期限「まで」に提出してください。期限を過ぎたレポートは受理しません。レポートが未提出の場合には、成績は「不可」（D)になります。

　期限まで2週間。がんばってレポートを作成しましょう。

　質問は随時受け付けています。メールで質問してください。

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