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社会学入門2011 第12講 状況の定義の発展2 [社会学入門]

社会学入門2011 第12講 状況の定義の発展

<状況の定義>

状況の定義は一般には実際に生じている現実にそくして行われる。しかしときには自分が希望する状況を期待して定義する。

→定義した内容が現実になることがある。


<今回の教材>
「ハガネの女」(2話)
脚本:大石哲也
演出:唐木希浩、常廣丈太(テレビ朝日)
プロデュース:中込卓也・飯田爽(テレビ朝日)、
       下山潤(トータルメディアコミュニケーション
2010年5月21日~7月2日 金曜23:15-24:15

<PTAの会長は?>
PTAの会長は「土地の有力者」という描き方は?
→ステレオタイプ

「35歳で結婚もできないなんて、女としてなんかあるんじゃないですか」
→ステレオタイプ

<定義した状況を外にだす?>
ステレオタイプや思い込みの多くは、個人のレベルで、個人の判断として維持されることが多い。そして状況の定義も、個人の判断として用いるだけで、外に出して表現されることは少ない。

自分が定義した内容を言葉で表現したらどうなるのか?

<表現された状況の定義>
レモンの母親の言葉:
「レモンは人の痛みのわかる優しい子になってほしい」
「聞き分けのいい、純粋な子」

先崎の言葉:
「担任に悪者扱いされたら、悪い子になっちゃうだろう」

ハガネと呼ばれる理由

<レッテル(ラベル)をはる>
小学校の担任が、ちょっとしたいたずらをした子どもを「悪い子」だとしかった。;レッテルを貼る

教師も生徒も「大きな問題になるほどの悪いことをした」という意識はない。
しかしまわりの人間は教師の言葉を信じてその生徒を「悪い子」として扱うようになる。;役割期待
本人は自分の意図とは無関係に、まわりの反応(役割期待)に対応して本当に「悪い子」として行動し始め(役割取得)、ついに本当に犯罪を犯した。

<ラベリング理論>
ラベリング理論は犯罪を代表とする社会規範から逸脱する行動を分析するために考え出された理論。
それまでの逸脱行動論では人間が逸脱行動するのは、本人の人格や本人の環境が主要な原因だと考えられた。犯罪者気質、貧困、離婚、劣悪な家庭環境など。
ラベリング理論では、逸脱者というラベルを貼られることによって、逸脱者として差異化されて扱われたり、ラベルを貼った人や周囲の反応によって逸脱行動が強化されることが明らかになった。

<悪者扱い>
権威のある人、権力のある人によって行われたラベリングの効果は高い。
学校の教師は教室では権威を持つ地位にいる。その役割として権力の行使がある。教室の中で教師が発する言葉には権力が含まれる。
生徒同士でラベルをはりあうよりも、教師が生徒にラベルを貼る方がはるかに効果がある。

数年前の福岡の小学校で生じたいじめ事件の発端は教師によるラベリングだった。

<ハガネの女>
先崎によれば、芳賀稲子が「ハガネ」と呼ばれるようになったのは、剣道の試合の後、と説明された。しかしその前に「ハガネ」と呼ばれていた可能性は否定できない。
芳賀稲子は「ハガネ」と呼ばれることによって、それにふさわしい行動をするようになったか、少なくてもハガネの女としての行動を洗練させた。

ハガネにとってはラベリングが人生においてプラスに働いた。
→教師の期待によって生徒の成績が向上することを教育心理学では「ピグマリオン効果」と呼ぶ。

<レモンはいい子?>
「優しい子」になってほしいという母親の期待。
「町の有力者の娘」というラベル。
「プリンセス」というあだな。

レモンはこうしたラベルにふさわしい態度や行動を行うように演技する。こうした演技を一部の生徒は「ぶりっこ」だとして拒否反応を示す。
レモン自身は・・・ラベルと自己分析とのギャップに強いストレスを感じている。→フラストレーションに発展。

<ラベリングの効果>
ラベリングによっていったん定着したイメージはなかなか払拭できない。
→昔の友人を思い出すきっかけはたいていがラベリングされたイメージ。

マイナスイメージになるラベル、自分がいやなラベルはできるだけ早いうちに消しておかなければ定着してしまう。
→削除するか、上書きする

<予言の自己成就>
ラベリングでは個人に貼られたラベル通りの役割を取得する、という理論であった。これは個人の役割にかかわること。しかし事柄に関しても同じことが生じる。

ラベリングと同様に発言された言葉通りになってしまうこと=予言の自己成就
→銀行の倒産、恋愛のうわさ
発言されてしまったためにその内容とは反対のことが生じる=予言の自己破壊
→マルクスによる資本主義崩壊の予言

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