社会学入門2012 第12講 状況の定義とラベリング [社会学入門]
社会学入門2012 第12講 状況の定義とラベリング
今回の題材
『ゴースト 天国からのささやき シーズン4 2話10年目の再会』
原作:ジョン・グレイ
監督:ジョン・グレイ
プロデューサー:ジェニファー・ラブ・ヒューイット他
【あだ名】
高校時代、メリンダ・ゴードンは「メリンダ・ゴースト」と呼ばれていました。彼女自身は「霊が見える」「霊の声が聞こえる」という話を友人にはしていません。ただ小学生時代からメリンダは幽霊が見えると言うことを友だちに話しており、「変な子」と呼ばれていました。その話が高校でも伝わっていて、「変な子」だと考えられていたのだと思います。
成人してからも「変人」という目で見られている、と彼女自身は意識しています。実際、そのようにみる同級生がいました。一方では逆の評価をしている同級生もいたようです。
【ラベルをはる(レッテルを貼る)】
個人や集団にある特定のレッテル(あだ名、呼び名など)を貼ることを「ラベリング」(labeling)と呼びます。
*レッテル:もともとオランダ語のletter。
①文字、②商品名・発売元・内容などを表示して商品に貼り付ける紙の札、③ある人物や物事についての評価
*ラベル:英語label 商品名・分類番号・宛名などを表示するために貼る紙片。
【レッテルは何?】
レッテル=予言
予言の自己成就は、周りの人間が「○○と信じれば」それが実現する、という理論でした。ラベリングも予言の自己成就と同じ仕組みで作用します。
つまり、ラベリングは、
たとえ本人にそうした要素がなかったとしても周りの人間が「○○」として対応すれば、本人の意志とは無関係に○○にされてしまう(あるいはなってしまう)、という理論です。
【ラベリングの効果】
予言の自己成就が実現しやすいのは、影響力のある人や組織(権威のある人や組織など)が予言を行った場合だと説明しました。同じことがラベリングにも当てはまります。ラベリングでも影響力のある人や組織によって貼られたレッテルの効果は大きくなります。
*教室での教師、会社の上司、弁護士、マスメディアなど。
【スティグマ(烙印)】
正常からは逸脱したと他者から見なされるネガティブなレッテルをスティグマ(stigma)と呼びます。その多くはマイナスイメージととらえられる欠点や短所となる属性(肌の色、いわゆる身体的障害、めがねなど)で、それが差別や偏見の根拠となります。
→スティグマのカテゴリー化
スティグマをはる、というのは属性に基づいて人間をいくつかのカテゴリーに分類するということを意味します。このように個人をいくつかのカテゴリーに分類するとことは、個人の個性を失わせる、ということにつながります。
【マイナスのアイデンティティ】
スティグマは本人にとっては好ましくありません。しかしスティグマをラベリングされて、周囲の人間が差別的な対応を続けるにつれて、そのレッテルに「居直り」、スティグマに誇りさえ持つようになることがあります。これを「否定的アイデンティティ」の引き受けと呼んでいます。
☆アイデンティティは他者によって証明されるもの
☆「寝たきり老人」もラベリングの一つ。本人も「寝たきり老人」というアイデンティティを形成する
【ピグマリオン効果】
本人にとっても社会にとってもプラスとなるレッテルをはり、そのようになってしまう(ラベリング)ことを「ピグマリオン効果」と呼びます。
教育現場ではピグマリオン効果を期待したラベリングがよく行われます。あまり成績がよくない生徒に「君には才能がある、少しだけがんばれば成績が上がるよ」と声をかけます。少しでも成績が上がれば「ほらできたじゃないか。君には才能があるからだ」声をかけ続けると、本人もその気になって実際に成績上位をキープするようになる。
これは役割演技と関係します。周りに期待された役割を自分の意志とは無関係に「演じ」続けることで、自分の意識自体がそのようになっていくということです。
【ジムのセリフ】
「君はいつも正しいと信じることをしている。それは必ず正しい結果につながるはずだ。そうなるまでがんばるんだよ。もっとがんばる。」
メリンダは自分が置かれた状況をけっして「否定的」にはとらえません。必ず問題は解決できると「信じています」。
【状況の定義】
「人がある状況を真実であると定義すれば(思い込めば)、結果においてもその状況が真実になる(本当になる)」
=状況の定義あるいは「トマスの公理」と呼びます。
このように事柄やレッテルだけでなく、状況にも「予言の自己成就」的な要素があります。つまり他者から見て嘘だと断定されることであっても、特定の情報に基づいて自分自身が状況を定義してつくりだすことです。
以下、いくつかの事例をあげておきます。
【流行色はつくられる?】
「この春の流行色はオレンジ」という予言は実現する?
ファッション業界団体において流行色コンセプトを決定
↓
流行の最先端を行きたいという女心をくすぐる
(刺激された女性が実際に購買行動に移す)
↓
店頭にはその色の商品が中心に並ぶ
↓
オレンジ色の商品が売れて春の流行色になる
【血液型による性格診断】
?型のチェック項目をチェックしていき、?型の行動パターンをみたとき、「あるある」と共感してしまうことが多い。
→血液型性格診断はただしい、と状況を定義する。
→どの内容を読んでも当てはまるような気がしていく。
【その他の状況の定義の事例】
プラシーボ効果(ビタミン剤が鎮痛薬になる)、
白衣性高血圧症、
ホーソーン実験(作業効率をあげるために明るい部屋と暗い部屋で作業を行った。その結果?)
今回の題材
『ゴースト 天国からのささやき シーズン4 2話10年目の再会』
原作:ジョン・グレイ
監督:ジョン・グレイ
プロデューサー:ジェニファー・ラブ・ヒューイット他
【あだ名】
高校時代、メリンダ・ゴードンは「メリンダ・ゴースト」と呼ばれていました。彼女自身は「霊が見える」「霊の声が聞こえる」という話を友人にはしていません。ただ小学生時代からメリンダは幽霊が見えると言うことを友だちに話しており、「変な子」と呼ばれていました。その話が高校でも伝わっていて、「変な子」だと考えられていたのだと思います。
成人してからも「変人」という目で見られている、と彼女自身は意識しています。実際、そのようにみる同級生がいました。一方では逆の評価をしている同級生もいたようです。
【ラベルをはる(レッテルを貼る)】
個人や集団にある特定のレッテル(あだ名、呼び名など)を貼ることを「ラベリング」(labeling)と呼びます。
*レッテル:もともとオランダ語のletter。
①文字、②商品名・発売元・内容などを表示して商品に貼り付ける紙の札、③ある人物や物事についての評価
*ラベル:英語label 商品名・分類番号・宛名などを表示するために貼る紙片。
【レッテルは何?】
レッテル=予言
予言の自己成就は、周りの人間が「○○と信じれば」それが実現する、という理論でした。ラベリングも予言の自己成就と同じ仕組みで作用します。
つまり、ラベリングは、
たとえ本人にそうした要素がなかったとしても周りの人間が「○○」として対応すれば、本人の意志とは無関係に○○にされてしまう(あるいはなってしまう)、という理論です。
【ラベリングの効果】
予言の自己成就が実現しやすいのは、影響力のある人や組織(権威のある人や組織など)が予言を行った場合だと説明しました。同じことがラベリングにも当てはまります。ラベリングでも影響力のある人や組織によって貼られたレッテルの効果は大きくなります。
*教室での教師、会社の上司、弁護士、マスメディアなど。
【スティグマ(烙印)】
正常からは逸脱したと他者から見なされるネガティブなレッテルをスティグマ(stigma)と呼びます。その多くはマイナスイメージととらえられる欠点や短所となる属性(肌の色、いわゆる身体的障害、めがねなど)で、それが差別や偏見の根拠となります。
→スティグマのカテゴリー化
スティグマをはる、というのは属性に基づいて人間をいくつかのカテゴリーに分類するということを意味します。このように個人をいくつかのカテゴリーに分類するとことは、個人の個性を失わせる、ということにつながります。
【マイナスのアイデンティティ】
スティグマは本人にとっては好ましくありません。しかしスティグマをラベリングされて、周囲の人間が差別的な対応を続けるにつれて、そのレッテルに「居直り」、スティグマに誇りさえ持つようになることがあります。これを「否定的アイデンティティ」の引き受けと呼んでいます。
☆アイデンティティは他者によって証明されるもの
☆「寝たきり老人」もラベリングの一つ。本人も「寝たきり老人」というアイデンティティを形成する
【ピグマリオン効果】
本人にとっても社会にとってもプラスとなるレッテルをはり、そのようになってしまう(ラベリング)ことを「ピグマリオン効果」と呼びます。
教育現場ではピグマリオン効果を期待したラベリングがよく行われます。あまり成績がよくない生徒に「君には才能がある、少しだけがんばれば成績が上がるよ」と声をかけます。少しでも成績が上がれば「ほらできたじゃないか。君には才能があるからだ」声をかけ続けると、本人もその気になって実際に成績上位をキープするようになる。
これは役割演技と関係します。周りに期待された役割を自分の意志とは無関係に「演じ」続けることで、自分の意識自体がそのようになっていくということです。
【ジムのセリフ】
「君はいつも正しいと信じることをしている。それは必ず正しい結果につながるはずだ。そうなるまでがんばるんだよ。もっとがんばる。」
メリンダは自分が置かれた状況をけっして「否定的」にはとらえません。必ず問題は解決できると「信じています」。
【状況の定義】
「人がある状況を真実であると定義すれば(思い込めば)、結果においてもその状況が真実になる(本当になる)」
=状況の定義あるいは「トマスの公理」と呼びます。
このように事柄やレッテルだけでなく、状況にも「予言の自己成就」的な要素があります。つまり他者から見て嘘だと断定されることであっても、特定の情報に基づいて自分自身が状況を定義してつくりだすことです。
以下、いくつかの事例をあげておきます。
【流行色はつくられる?】
「この春の流行色はオレンジ」という予言は実現する?
ファッション業界団体において流行色コンセプトを決定
↓
流行の最先端を行きたいという女心をくすぐる
(刺激された女性が実際に購買行動に移す)
↓
店頭にはその色の商品が中心に並ぶ
↓
オレンジ色の商品が売れて春の流行色になる
【血液型による性格診断】
?型のチェック項目をチェックしていき、?型の行動パターンをみたとき、「あるある」と共感してしまうことが多い。
→血液型性格診断はただしい、と状況を定義する。
→どの内容を読んでも当てはまるような気がしていく。
【その他の状況の定義の事例】
プラシーボ効果(ビタミン剤が鎮痛薬になる)、
白衣性高血圧症、
ホーソーン実験(作業効率をあげるために明るい部屋と暗い部屋で作業を行った。その結果?)
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2012-07-05 20:34
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