社会学入門2012 第4講 行動と行為(3) [社会学入門]
社会学入門2012 第4講 行動と行為(3)
今回の教材
「未来戦隊タイムレンジャー」(第1,2話)
脚本:小林靖子
監督:諸田敏
2000年2月13日~2001年2月4日
スーパー戦隊シリーズ25周年記念の作品。20世紀最後のシリーズ作品で、レッドがリーダーにならず女性がリーダーになった作品です。なおスーパー戦隊はテレビ朝日7時30分~枠ですが、この後の8時~枠では長い間造られていなかった仮面ライダーシリーズが、平成仮面ライダーシリーズとして開始され、「仮面ライダークウガ」が放送されていました。
多くの生物は同じ種であれば同一の刺激に対して同一の反応を示します。人間は他の生物とは異なり、同一の刺激に対して個体ごとに異なった反応を示します。それは個人によって刺激に対する動機付けが異なるからです。それでは具体的な行為を分析する際には行為をどのように分解して考察したらいいのでしょうか。
実は人間は刺激に対して個体ごとに異なった反応をしますが、行為には共通する要素があります。
【行為モデル】
行為は次の要素から構成されます。
刺激(変化)
資源の検討
規範(価値)
資源の動員
欲求(動機)
目的
行動(結果)
【刺激から欲求や目的設定へ】
人間は刺激(変化)が生じたときにその意味を分析(意味づけ)し、自分がやりたいことやらなければならないことなどの「欲求」や「動機」が形成されます。
そしてその欲求や動機を充足するために何をどうしたらいいのか、という行動の「目的」が設定され、実際の行動へと移行します。
【欲求充足のための資源や価値の検討】
目的が設定されたとしても即時に行動には結びつきません。目的を達成するため、いくつかの条件の検討が必要になります。条件が満たされなければ目的を修正しなければならなくなります。
条件は大きく分けて、一つは<資源>であり、もう一つは<規範>(価値)です。
【欲求充足のための資源】
物資源
能力資源
社会的関係資源(社会資本)
文化資源(文化資本)
情報資源
【物資源】
自然の資源や、道具や機械などの人工物。貨幣や資本なども物資源に含まれます。
Ex.
ドライブするためには車が必要
川、海、プールなどがなければ水泳できない など
タイムマシンがなければドルネロは20世紀に逃げられない
【能力資源】
経験、知能、身体能力、読解、技能などの人間の能力全般を指します。
Ex.
雪を見たことがなければ雪が冷たいことを知らない。
アイドルになるには顔かスタイルがいいか、変わった特技がある など
爆弾魔ジェッター(第2話)は爆弾をつくりだす身体的能力をもっている
【社会的関係資源(社会資本)】
人間関係(コネ)、社会的地位、名声など自分以外の他者の力を利用できる資源。
この資源は個人が所有するだけではなく、資本として他の人間に継承できます。
→二世政治家、二世芸能人、歌舞伎一家
Ex.
芸能人を誕生日に呼ぶにはコネクションが必要。
政治家になるには広い人脈があったほうが有利。
ドルネロはギエンの知能を利用することができる
【文化資源(文化資本)】
家族から伝達される文化的財、言語能力、振る舞い、知識など文化にかかわる資源を指します。
Ex.
マルチリンガル
伝統芸能
上流社会の態度
など
家族がいなければ、「家族」という資源から継承する文化資本はない。
【情報資源】
本・新聞・雑誌などの文字情報、テレビ・映画などの視覚情報、ラジオ・音楽などの聴覚情報、あるいは国旗・国家・勲章などの象徴などの資源。
現代社会ではパーソナルデータは貴重な情報資源である。誰がどのような社会資本を有しているかという情報は、行為の幅を広げるのに有効。
→就活を考えればよい。
Ex.
相手の趣味趣向がわかっていれば相手に近づきやすい
【資源による目的の限定性】
行為の実行には資源が必要!
→可能な行為が限定される。
動員できる資源によって設定できる目的の可能性が限られる。
夢も目的の一つ。資源によって「夢」もかわる。誰もがどんな夢でも想定できるというのは・・・社会学的にはウソ。
【規範の検討】
「規範」とは?
→社会成員の行為を拘束する力
規範によって行為の範囲が限定される。
↓
「資源」に限りがないとしても、「規範」によって限定されることがある。
Ex.どんなに憎い相手でも殺してはいけない。どんなに欲しい物があっても他人の物を盗んではいけない。
【規範の種類】
規範は拘束力の強さによって3つに分けられます。
慣習 < 習律(モーレス) < 法
【慣習】
慣習には伝統、流行、習俗などがあります。
慣習は、目的や意図を意識しないで、やることになっているから行う行動を指します。
Ex.
おじぎ、箸を使って食事をする、しきいをまたぐ
【慣律(モーレス)】
慣習のうち、従わないと他人に危害(迷惑)を加えるもの。非公式の制裁が加えられることがあります。=村八分の元になった村法など
→現在は廃れています
→現在は「道徳」として維持されています
Ex.
用水路に有害物を流さない
田んぼの害虫を駆除する
【法】
成文化され、人々を強く拘束する。従わないと公式の制裁が加えられます。
【規範がなければ】
もし規範がなければ、資源が動員できる範囲で、個人は欲求のままに行為するようになる可能性があります。つまり犯罪が増加し、社会が崩壊する可能性が高いということです。
規範によって私たちは安定した社会生活が可能となり、意識しないで決められたパターン化された行為を行うことができます。
【竜也「五人目参上」と言った(行為)理由を考える】
契機(刺激)
1.クロノチェンジャー初回起動のために一時的にタイムレンジャーになったこと
2.未来人が未来に帰れないこと(未来を変えられないため)を知ったこと→竜也がタイムレンジャーになれる可能性が高まった
欲求(動機)
1.今までの自分を変えたいという欲求が高まる
2.タイムレンジャーになれるかも?
【資源の検討】
<物資源>
自立のために用意したビルがある=基地になる
<能力資源>
体力も戦闘力もある
<社会資本>
父親のコネクションが使える
<情報資源>
20世紀のことを知っている
【価値(規範)】
「次の瞬間を決めるのは自分」
「俺の未来は俺が守る」
「レールから外れるな」という規範に反発する
【目的の設定】
タイムレンジャーになって自分の未来を自分で守る
←二番目の契機の前にぼんやりと考えていた目的
【行動(結果)】
「五人目参上」という言葉によってタイムレンジャーになることを宣言
今回の教材
「未来戦隊タイムレンジャー」(第1,2話)
脚本:小林靖子
監督:諸田敏
2000年2月13日~2001年2月4日
スーパー戦隊シリーズ25周年記念の作品。20世紀最後のシリーズ作品で、レッドがリーダーにならず女性がリーダーになった作品です。なおスーパー戦隊はテレビ朝日7時30分~枠ですが、この後の8時~枠では長い間造られていなかった仮面ライダーシリーズが、平成仮面ライダーシリーズとして開始され、「仮面ライダークウガ」が放送されていました。
多くの生物は同じ種であれば同一の刺激に対して同一の反応を示します。人間は他の生物とは異なり、同一の刺激に対して個体ごとに異なった反応を示します。それは個人によって刺激に対する動機付けが異なるからです。それでは具体的な行為を分析する際には行為をどのように分解して考察したらいいのでしょうか。
実は人間は刺激に対して個体ごとに異なった反応をしますが、行為には共通する要素があります。
【行為モデル】
行為は次の要素から構成されます。
刺激(変化)
資源の検討
規範(価値)
資源の動員
欲求(動機)
目的
行動(結果)
【刺激から欲求や目的設定へ】
人間は刺激(変化)が生じたときにその意味を分析(意味づけ)し、自分がやりたいことやらなければならないことなどの「欲求」や「動機」が形成されます。
そしてその欲求や動機を充足するために何をどうしたらいいのか、という行動の「目的」が設定され、実際の行動へと移行します。
【欲求充足のための資源や価値の検討】
目的が設定されたとしても即時に行動には結びつきません。目的を達成するため、いくつかの条件の検討が必要になります。条件が満たされなければ目的を修正しなければならなくなります。
条件は大きく分けて、一つは<資源>であり、もう一つは<規範>(価値)です。
【欲求充足のための資源】
物資源
能力資源
社会的関係資源(社会資本)
文化資源(文化資本)
情報資源
【物資源】
自然の資源や、道具や機械などの人工物。貨幣や資本なども物資源に含まれます。
Ex.
ドライブするためには車が必要
川、海、プールなどがなければ水泳できない など
タイムマシンがなければドルネロは20世紀に逃げられない
【能力資源】
経験、知能、身体能力、読解、技能などの人間の能力全般を指します。
Ex.
雪を見たことがなければ雪が冷たいことを知らない。
アイドルになるには顔かスタイルがいいか、変わった特技がある など
爆弾魔ジェッター(第2話)は爆弾をつくりだす身体的能力をもっている
【社会的関係資源(社会資本)】
人間関係(コネ)、社会的地位、名声など自分以外の他者の力を利用できる資源。
この資源は個人が所有するだけではなく、資本として他の人間に継承できます。
→二世政治家、二世芸能人、歌舞伎一家
Ex.
芸能人を誕生日に呼ぶにはコネクションが必要。
政治家になるには広い人脈があったほうが有利。
ドルネロはギエンの知能を利用することができる
【文化資源(文化資本)】
家族から伝達される文化的財、言語能力、振る舞い、知識など文化にかかわる資源を指します。
Ex.
マルチリンガル
伝統芸能
上流社会の態度
など
家族がいなければ、「家族」という資源から継承する文化資本はない。
【情報資源】
本・新聞・雑誌などの文字情報、テレビ・映画などの視覚情報、ラジオ・音楽などの聴覚情報、あるいは国旗・国家・勲章などの象徴などの資源。
現代社会ではパーソナルデータは貴重な情報資源である。誰がどのような社会資本を有しているかという情報は、行為の幅を広げるのに有効。
→就活を考えればよい。
Ex.
相手の趣味趣向がわかっていれば相手に近づきやすい
【資源による目的の限定性】
行為の実行には資源が必要!
→可能な行為が限定される。
動員できる資源によって設定できる目的の可能性が限られる。
夢も目的の一つ。資源によって「夢」もかわる。誰もがどんな夢でも想定できるというのは・・・社会学的にはウソ。
【規範の検討】
「規範」とは?
→社会成員の行為を拘束する力
規範によって行為の範囲が限定される。
↓
「資源」に限りがないとしても、「規範」によって限定されることがある。
Ex.どんなに憎い相手でも殺してはいけない。どんなに欲しい物があっても他人の物を盗んではいけない。
【規範の種類】
規範は拘束力の強さによって3つに分けられます。
慣習 < 習律(モーレス) < 法
【慣習】
慣習には伝統、流行、習俗などがあります。
慣習は、目的や意図を意識しないで、やることになっているから行う行動を指します。
Ex.
おじぎ、箸を使って食事をする、しきいをまたぐ
【慣律(モーレス)】
慣習のうち、従わないと他人に危害(迷惑)を加えるもの。非公式の制裁が加えられることがあります。=村八分の元になった村法など
→現在は廃れています
→現在は「道徳」として維持されています
Ex.
用水路に有害物を流さない
田んぼの害虫を駆除する
【法】
成文化され、人々を強く拘束する。従わないと公式の制裁が加えられます。
【規範がなければ】
もし規範がなければ、資源が動員できる範囲で、個人は欲求のままに行為するようになる可能性があります。つまり犯罪が増加し、社会が崩壊する可能性が高いということです。
規範によって私たちは安定した社会生活が可能となり、意識しないで決められたパターン化された行為を行うことができます。
【竜也「五人目参上」と言った(行為)理由を考える】
契機(刺激)
1.クロノチェンジャー初回起動のために一時的にタイムレンジャーになったこと
2.未来人が未来に帰れないこと(未来を変えられないため)を知ったこと→竜也がタイムレンジャーになれる可能性が高まった
欲求(動機)
1.今までの自分を変えたいという欲求が高まる
2.タイムレンジャーになれるかも?
【資源の検討】
<物資源>
自立のために用意したビルがある=基地になる
<能力資源>
体力も戦闘力もある
<社会資本>
父親のコネクションが使える
<情報資源>
20世紀のことを知っている
【価値(規範)】
「次の瞬間を決めるのは自分」
「俺の未来は俺が守る」
「レールから外れるな」という規範に反発する
【目的の設定】
タイムレンジャーになって自分の未来を自分で守る
←二番目の契機の前にぼんやりと考えていた目的
【行動(結果)】
「五人目参上」という言葉によってタイムレンジャーになることを宣言
2012-05-10 19:45
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