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社会学入門2012 第3講 行動と行為(2) [社会学入門]

社会学入門2012 第3講 行動と行為(2)

今回の教材

「東京ラブストーリー」(第2話)
脚本:坂元裕二
演出:永山耕三、本間欧彦
1991年フジテレビ系列で放送

フジテレビ月曜9時のドラマ枠が「月9」と呼ばれ、トレンディドラマ枠として確立されることになりました。
→「月曜日の夜、街から女性が消えた」という伝説を生みました。

 これはおおよそ20年前の作品です。ドラマは製作された時代の影響を強く受けて作られています。特にトレンディドラマと呼ばれるジャンルのドラマは当時の製品やファッションが積極的に使われているため、社会学の資料としても重要です。今回は行為という社会学の考え方を説明する教材としてドラマを使っていますが、当時の社会を理解する資料としても使えるということを知っておいてください。

 さて実際の説明を始める前に「昔のドラマを見るときの楽しみ方」について紹介しておきたいと思います。

・トレンディドラマは新製品、最新機器が使われます。
 ex.第1話に登場する携帯電話(and コードレス電話)は巨大で、自動車電話は弁当箱と呼ばれていました。

・現在では考えにくい「しぐさ」が見られます。
 リカと完治の電話をかけるしぐさ
 →ダイヤル式電話とプッシュ式電話

・昔の街の風景が見られます。
 →東京は数年で激変する

・制作者の感じる時代性を知る
 →ドラマ制作者は時代の最先端にいると思い込んでいます
 →このドラマではバブル経済の末期の時代性が反映しています

・当時のファッションを知ることができます

・時代性があらわれます。
 アイコンのないPCの画面、Floppyのやりとり、社内で喫煙

【今回のテーマとして取り上げるシーン】

1.Op完治「何をどうやったらあんなところに靴が・・・」

2.Opリカ「さっき逃げようとした!」「私が声をかけなかったら知らんぷりしようとしたでしょ」

3.Op完治は昨晩リカがキスをした理由を聞く

4.完治の部屋、完治が出ていった後、リカは三上に話しかけている。リカは何をしているのか?

5.完治「じゃあ何であんなことを・・」三上がサトミにキスをしたことについてサトミと三上二人に同じことを聞く

ここで取り上げた5つのシーンに共通するのは、

  人間は自分の行動や事象を「原因-結果」の図式で捉える

ということです。

【行動を原因-結果で捉える典型的なシーン】

 それでは人間の行動を原因-結果で捉える典型的なシーンはどのシーンでしょう。

1.
 冒頭の木の上に靴があるシーンです。このシーンでは完治は赤名リカに「何をどうやったらあんなところに靴が・・・」と質問しています。これは「木の上に靴がある」という結果の原因を探る質問です。この原因はリカが天気を予想するために「靴を蹴り上げた」ということなのですが、このように人間の行動の結果には必ず原因があります。
 ちなみにこのシーンでは完治が「なんでそんなに大きな荷物を持っている」という質問をしていますが、これは後のシーンに対する布石になっています。つまりこの質問自体がリカの行動の原因が探ることになっているのです。

2.
 別のシーンで完治はリカを避けようとしています。その行動に対してリカは「あ~あ、会いたくなかった」と言って完治が逃げようとした原因を推測している。ここでも完治の行動を原因-結果の枠組みで捉えようとしています。そしてこの発言に対して完治は「勝手に読むなよ」と言っています。これは結果としての行動の目的、つまり「動機」です。
3.
 完治はリカが自分にキスをした理由を考えています。完治の彼女らしい女性が他の男性とキスをした場面を見てしょげているだろうと「同情」でキスをしたのか、それとも「恋愛」だったのか。

4.
 完治が出て行った後、リカは三上に「三上の本音」を語っています。この本音が三上の行動の動機です。
 人間は必ず何かを考えて行動します。人間の行動の大部分には「動機」や「原因」があります。しかしそれに自分自身が気がついていないことがあるのです。

5.
 最後にあげたシーンです。完治が三上に「じゃ、なんであんなこと」と言ったシーン。完治は三上とサトミが合意の上でキスをしていたと考えていました。人間は表面的に観察できる行動からしか動機を探ることはできません。人間が何を考えているのか、内面を直接知ることは不可能です。そして三上とサトミのキスシーンをみて、その表面的な行動から(つまりサトミが嫌がっているという行動を見ていないから)、二人が合意の上でキスをしていると考えたのです。だから完治は二人に「じゃ、なんであんなことを」と質問したのです。

【社会学における行動とは?】

行動(behavior)とは:
体を動かす、話をする、ものを食べるなどの生物の活動や行いすべて。不随意な反応、いわゆる反射的な行いも含まれる。

 これは他人が観察できる振る舞いです。

【生物行動のパターン】

一般に同種の生物の基本的行動パターンはすべて同じです。それでは生物の行動パターンとは、

  刺激(原因)→反応(結果)

になります。

光(原因)→光源に向かって走る(結果)
エサ(原因)→食べる(結果)

のように生物は刺激が与えられると必ず反応します。

【人間の行動?】

 それでは人間の行動パターンはどうでしょう? 同種の生物は刺激が同じであればいつも同じ反応を示します。しかし人間の場合、刺激に対する反応が全員同じということはありません。また結果としての行動が同じであっても刺激がいつも同じだとはかぎりません。それでは人間はどうして生物と異なる行動パターンをとるのでしょう。

 人間の場合、刺激に対する「意味づけ」や「動機付け」が異なるため、反応としての行動に相違があります。

【2種類の行動】

 このように行動パターンには相違があります。そして大きく2つに分けることができます。

1つは「意識しないで行われる行動」

もう1つは「意識して行われる行動」

です。

 目的や意図などがある行動(=意識して行われる行動)を、社会学では「行為」(act)と呼びます。

*個人が目的や意図を意識しない行為もあります。
*表面的に観察できない行為もあります。

 行為の大部分は行動に含まれますが、一部(表面にあらわれない部分)行動に含まれない行為もあるということです。

【リカや完治の行為】

 リカや完治の行為の意味は何だろうか。
 人によって「動機」は異なります。相手の行動の意味を理解するためには、愛の動機を推測しなければなりません。あるいは相手の行動の「意図」を知るために相手の真意や本音を質問して聞くことになります。
 こうして相手の動機(意図や目的)を知ることによってどんなメリットがあるのでしょう。

→相手を理解し、コミュニケーションをはかることが可能になります。


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