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社会学入門 第4講 行動と行為(3) [社会学入門]

社会学入門 第4講 行動と行為(3)

 引き続き今回のテーマは「行動と行為」です。前回の授業終了後、出席カードに質問が書かれていました。授業中にも質問があり、簡単に答えたのですが、わかりにくかったのかもしれません。重要な質問なので、詳しく説明したいと思います。

 質問の内容は、南はなぜ「アンアン」のモデルをしていると嘘をついたのか? ということです。この南の嘘をつくという行為は瀬名の行為と対になっています。瀬名は自分が「ピアニスト」だと嘘を言います。この嘘をつくという二人の行為は同じときに行われ、嘘であることをお互いに明らかにするのも同じタイミングで行われます。

 「嘘をつく」という行為を目的-行動の部分だけ取り上げて考えれば、次のように説明することができます。

目的:現実を隠す
行動:現実とは異なることを言う

嘘という行為は、本来、現実を隠すために、現実とは異なることを言うという「手段的行為」です。それでは目的的行為としての嘘はないのでしょうか? 「オオカミが来たぞ~」と叫んでいた少年の行為は、目的行為としての嘘です。落語にも「嘘をつくために嘘をつく青年」が登場します。

 このように目的-行動だけを取り上げて考えると南と瀬名の「嘘をつく」という行為は同じになります。しかし二人の行為の動機が異なっています。

 南が嘘をついた動機の部分を詳細に考えてみましょう。南は「アンアン」ほど人気雑誌ではありませんが、かつて雑誌のモデルをしていました。そのことは南が会社でマネージャーに向かって「また水着になりましょうか?」と発言していることから推測できます。以前は水着を着て雑誌のモデルをしていたのでしょう。しかし現在はドラマの描き方としては、年齢の影響で雑誌のモデルという仕事はありません。現在の現実では雑誌のモデルはしていませんが、過去の現実としては雑誌のモデルをしていたのです。
 確かに「見栄」で嘘をついたと考えることが自然かもしれません。しかし南としては現在も過去の現実と連続していて、いつでも雑誌のモデルに戻れると考えているのです。

 一方瀬名はピアニストを目指して音大で勉強していましたが、大学院入試に失敗し、大学での勉強を続けられなくなっています。挫折感も味わっていると考えられます。そのことは大学の同級生との会話で「大学に居場所がない」と発言し、大学に行きたがっていない態度から推測できます。現在はピアノ教室でピアノ講師をしていますが、ピアニストになるという夢をあきらめてしまったわけではありません。そのことはコンクールに出場していることから理解できます。現在の現実はピアニストではありませんが、将来の現実としてはピアニストなのです。
 二人の間には、過去の現実~現在の現実、現在の現実~将来の現実というズレがあります。このように動機の部分にはズレはありますが、結果としての行動は同じです。そして実際に二人が直面しているのは、現実と意識のズレで、現実は二人が思っているようにはいかず、いわゆる「何をやってもうまくいかない」状態になってしまいました。そこで瀬名は、「ロングバケーションだと考えましょう」と言い、それがタイトルになっているのです。

 さて本日、いよいよ第1回目のレポートを発表します。題材は「仮面ライダー」なのですが、レポート課題を発表する前に、初代仮面ライダーに登場する仮面ライダーの敵、ショッカーについて考えてみたいと思います。ショッカーの行為の動機は、「他人を支配したいという欲望」です。そのために「世界征服」という目的が設定されました。「世界征服」という目的を達成するため、「人を人造人間に改造して、味方にする」、どうしてもいうことを聞かない人は「殺してしまう」という行動を行います。実は仮面ライダーはショッカーの味方にするために改造された改造人間です。手術の途中で救出され、ショッカーにはなりませんでした。
 ショッカーはドイツのナチスをモデルに考え出されました。いわば「絶対悪」という存在です。この絶対悪としてのショッカーは「世界征服」のための活動するのですが、活動の拠点は「日本」です。なぜ日本なのでしょう。世界征服を実現するためには、小国日本よりもアメリカ合衆国の方が適切だと思います。しかしこのことについては何の説明もありません(1号ライダーから2号ライダーに交代するときに少しだけ説明がありました)。
 新シリーズではこのあたりの矛盾が解決されています。そのあたりのストーリー展開も楽しんでもらいたいのですが、まずは課題を発表しましょう。

課題作品は、

『仮面ライダークウガ 第1話、第2話』
  監督:石田秀範、渡辺勝也
  脚本:荒川稔久
  2000年

です。
 課題は、

「五代雄介はなぜこぶしを握りしめたのか?」

です。第2話には主人公五代雄介が自分のこぶしを握りしめるシーンが3回登場し、こぶしをアップで撮影して強調しています。この「こぶしを握りしめる」という行為の意味を推測するのが、第1回目のレポートの課題です。

 レポートを書くにあたっての注意事項です。

1.この課題は感想文でも作文でもありません。小論文として書きましょう。

2.原則的には電子メールで提出してください。どうしても手書きのレポートを提出しなければならない場合には、必ずペン書きにします。

レポートの提出期限は2008年5月15日(木曜日)授業終了時間までとします。これは提出期限なので、期限「まで」に提出してください。期限を過ぎたレポートは受理しません。レポートが未提出の場合には、成績は「不可」(D)になります。

レポートは電子メールで提出してください。ワープロ文書をメールに添付してもかまいませんし、本文に入力していただいてもかまいません。
 携帯メールで提出していただいてもかまいません。
 提出していただいたメールには必ず「受領確認」のメールを返信します。必ず返信メールを確認してください。メールを送信後、24時間経過しても「受領確認」の返信メールが届かない場合には、なんらかの理由で私にメールが届かなかった可能性があります。もう一度送信してください。
 なお、大学からのメールを受信できるように「着信拒否」しないでください。

 期限まで2週間。GW中ですが、がんばってレポートを作成しましょう。




仮面ライダー クウガ Vol.1

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  • 出版社/メーカー: 東映ビデオ
  • メディア: DVD



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